H8S/Tiny準備項目および制限事項
1.ユーザ側での準備項目
MCU動作モードは、ユーザーモードの設定でデバッグ可能になります。
ユーザプログラムの開始アドレスは、0x200番地以上にして下さい。
メモリマッップ


  内蔵ROM終了アドレス 内蔵RAM ファーム使用アドレス
H8S/20103 0x1FFFF 全開放 0x23000(4KB) 0xFFBF80(1KB)
H8S/20203 0x1FFFF 全開放 0x23000(4KB) 0xFFBF80(1KB)
H8S/20115 0x3FFFF 全開放 0x43000(4KB) 0xFFBF80(1KB)
H8S/20115R 0x3FFFF 全開放 0x43000(4KB) 0xFFBF80(1KB)
2.使用制限事項
デバッグをするためには、CPUをエミュレーションモードにする必要があります。
エミュレーション−モード遷移の操作でエミュレーションモードにして下さい。
ファーム使用の割り込みベクタは下記の通りでダウンロード時に自動セットされます。
(ベクタ2・ベクタ3・ベクタ7・ベクタ12・ベクタ13・ベクタ14・ベクタ15)
リセットベクタ値は0x200以上とし、その番地にはスタックポインタ設定の命令を配置することを推奨します。
「trapa #3」の命令は、ユーザ側で使用しないで下さい。
NMIは、デバッガが占有します。
NMIエッジは、立下り(初期値)とします。
上記表のファーム使用アドレスは、デバッガが使用しています。ユーザはアクセスしないで下さい。
使用端子は、デバッグ用に占有・共有使用します。(E8aに準拠)
(P87 P86 P85 NMI)占有 (RST)共有
ターゲットとの接続は、推奨接続参考図をもとに設計して下さい。
デバイス制限としてフラッシュメモリの書き換え回数に制限があります。
データフラッシュ領域への書き込みはサポートしていません。
3.機能制限事項
レジスタのSP(スタックポインタ)は、リードオンリです。
ソフトウェアパーツの「PUTCH」は、使用する事が出来ません。
ソフトウェアパーツの「ソースブレーク」は、使用する事が出来ません。
4.ブレークの注意事項
実行後ブレーク固定です。
ロングワードデータ(llongは、ワードアクセスが2回連続して行われます。
下位側1ワードでブレークさせたい場合は、アクセスアドレスに+2をして指定して下さい。
例)「long LoopCnt」が「1」になった時にブレークさせたい場合は、 「LoopCnt+2 MW 16bit 1」と指定して下さい。
5.ファーム起動毎時のCPUに対する設定
(TCWD)ウォッチドッグタイマが有効なっている場合、ファーム終了時にカウンタをゼロにしています。
6.低消費電力モード状態の注意事項
低消費電力状態でブレークモード(ファーム起動)にさせますと低消費電力状態は解除されます。
7.H8S/Tiny特有の注意事項
H8S/Tinyは、PowerON時、ウォッチドッグタイマが有効になっている品種です。プログラムの初期化等が済むまでは無効にする処理を入れることを推奨します。特にルネサスC標準の「resetprg.c」を使用する場合は、必ず、SPの設定後に無効にする処理を記述して下さい。理由は、「_INITSCT()」処理中にWDTがタイムUPしてしまう可能性があるからです。
H8S/Tinyは、PowerON時、低速OCO側になっています。上記設定後(WDTの無効)にメイン発振器に切り替える手続きを記述して下さい。なお、ブーレークモード時(ファーム実行)は、デバッガ専用OCO(20MHz)で動作し、復帰時にユーザ側OCOに切り替わる仕様になっています。
ブレークモード中(ファーム実行)は、基板単体のみのRESET操作はしないで下さい。RESETが必要な場合は、コントロールソフト「DEF」側からのRESET操作をして下さい。なお、DEFからのRESET動作は「CPU,DTC,低電圧検出回路」を除くモジュールがRESETされます。
エミュレーションモードへ遷移した場合、VCCがゼロになるまでCPU側のRESET信号は無効になり、ファーム内での特殊処理になっています。電池バックアップシステムの場合、製品出荷用にフラッシュROMに書き込みをした場合、必ず、VCCをゼロにする処置をして下さい。
8.その他注意事項
H8S内部I/Oレジスタの中には、16,32ビットの指定ビットによるアクセス制限がついている場合があります。
メモリセットコマンド等で内部I/Oレジスタアクセスする場合は、指定ビット長でアクセスして下さい。
指定ビット長以外でアクセスしますと間違った情報を得ることになります。
9.オンザフライ時のCPU停止時間の計測値
コマンド 停止時間 単位(msec)
CPU設定  割込みを使用しない 割込みを使用する  
デバッグI/F クロック同期 クロック同期
割込み方式 受信割込み
割込みが使用できる条件 ユーザ側が割込み許可状態
1バイトのメモリアクセス 1.80
1バイト増毎に+0.12ms
(MAX 128byte 18.0ms)
0.04
バイト数に影響されない
全レジスタ 12.00 0.04
個別レジスタ(ERレジスタ) 1.20 0.04
個別レジスタ(CCRレジスタ) 1.00 0.04
個別レジスタ(PCレジスタ) 1.00 0.04
1行の逆アセンブラ 4.00 0.04
DI,EI.IntFlg(割込み系) 5.00 5.00
ブレークポイントの設定 10.00 10.00
ブレークポイントの解除 10.00 10.00
停止時間の計測方法 [NMI]のLow巾 計測方法なし
*H8S/20115 クロックが20.0MHz時の実測値
<オンザフライ機能使用時の注意事項 割込み方式が「受信割込み」の場合>
「受信割り込み」の場合、ターゲット実行中に約10ms毎にターゲットの状態を調べるため送受信によってモニタを起動させています。ターゲット側の実動作に影響を与える場合は、「割り込みを使用しない」側に設定して下さい。
低消費電力モードとウォッチドッグタイマアップの動作確認をする場合は、「割り込みを使用しない」の設定で確認して下さい